白日朝日のえーもぺーじ

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『9-nine-』シリーズのこと

『9-nine-』シリーズはエロゲメーカーぱれっとの分割方式ながら現在最新作のエロゲですね。
 一応、2020年4月末発売の『ゆきいろゆきはなゆきのあと』でシリーズ完結っぽいです。
 シリーズ最初の作品である『ここのつここのかここのいろ』が2017年4月末、
 二作目『そらいろそらうたそらのおと』が2018年4月末、
 三作目『はるいろはるこいはるのかぜ』が2019年4月末、
 とまあ、プレイヤー的には4年かけて完結みたいな感じですね。
 ぼくはシリーズ全作品出てからのプレイヤーなので、継続プレイヤー的な待ちに待ったシナリオ完結とかあんまりその辺の感慨はないです。フルコンプ体感50時間くらいのエロゲを12000円で買ったみたいな感じで、面白さ抜きにしてのコスパはふつうに良いかなと思います。15時間フルプライス(9000円前後)で内容アホのエロゲもあるにはあるので(アホの子エロゲも物によっては好きですが

 買った理由は元々妹ものエロゲが好きでシリーズ二作目の『そらいろ~』のヒロインである新海天(にいみ そら)がかわいいらしいことを知っていたがスルーしていたことと、いくらか前の同ブログ遡ったら感想出てくる『ワールド・エレクション』ってエロゲのクルルってヒロインが声込みでやたら好きで、その声優さんが沢澤砂羽さんだったところから、最終的に天の声優が沢澤砂羽さんと知ったことですね。
 最初は二作目だけやろうということ考えましたが、ものの感想スペースにぜひ最初の作品からみたいなこと書いてあったのと時間に余裕があるひとだったのでもう別にいいやと、まず一作目からやろうということにしました。
 天のかわいさは彼女がメインの『そらいろ』やらずとも一作目でもう測れますね。かわいいです。兄に対するウザカワ(デレ)ヒロインって感じなんですが、掛け合いのもう演技の振り幅が良くて、「お兄ちゃん好き好き~」で押す子でも「ツンデレギャップ妹」で押す子でもなくて、先述の沢澤砂羽の演技のおかげもあって、日常会話の由無し事から楽しめる。要はなんでもない話してるのに会話途中で飛ばして聞いたりしないみたいな感じになります。もちろんライターさんの掛け合いのセンスもあるんでしょうけれど、それも込みで活きていたのは天でしょうね。主人公との漫才がシリーズ通して面白かったです。

 えー、ここから先はネタバレとかするかもしれないし別にしないかもしないけれど、4作目まで込みの話ってだけでネタバレになりますってくらいのひとはブラウザのタブからペッしてください。それはするので。まあそういうひとには記事の開始時点でもうネタバレあるのかもですね。

 とりあえず、天の可愛さの話の続きですね。えっとこの子、声優さんの演技込みでキャラクターの定位が爆速です。定位が爆速というのはつまり、そこにいる感がすぐにつよつよってことですね。なんぼか掛け合いしたらすぐそこにいます。エロゲ妹としては割と特殊なヒロイン造形してる印象ではあるので、性格の掴みどころ、という意味では意外とそこまで素早くはないと思うのですが、いるなあ感はすぐ得られます。そしてこのバカみたいな掛け合いやってたいなってなるまでは爆速ですね。
 特殊なキャラ造形ってのはアレですね、基本的に悪友と妹キャラとヒロイン混ぜこぜにしてるって感じで主人公と天というキャラ間ではもう互いに口が悪いです。兄妹互いに、ときに「おいおいほにゃららしてんじゃねえぞてめえ」的なことを言います。その温度感は兄妹間のじゃれ合いの範疇なので、そんなところに兄妹としての地が出ちゃいながら話してる感じがかわいいんでしょうね。他のエロゲだとなんだろな……。パッケージング的にはFrontwing『ゆきうた』のカモンブラザーさんかもしれないんですが、まあこの種の会話するヒロインってどこかのエロゲでも見た気はするんすよね。多分バカゲーか泣きゲーです。泣きゲーだったら多分シリアスとの緊張と緩和が丁度いいからでしょうね。
 とかくアホの子に分類される妹ではあると思います。別にアホじゃないんですけれどね、主人公との掛け合い兼じゃれ合いがアホくさいだけで。人間的には察しが良かったりするし、兄以外にはそこそこおどおどしたりもする子で兄以外のキャラ込みでの振る舞いもかわいいです。兄とはバカできるのに、それ以外のキャラだと一歩二歩引いちゃうみたいな、そういうのもありますね。ヒロインの中でも序盤っていうか一作目のメインヒロインとして出てくる九條都(くじょう みやこ。以下、みゃーこ先輩)とは比較的早く仲良くなりますけれど、三作目の春風さんとか四作目の希亜とかは距離感多少ありますね。
 余談ですが、主人公である新海翔(かける)に対して、にぃに、にいやん(このふたつをメインで使う)、さらにお兄ちゃん、兄貴、お兄様、兄さん、お兄たま、兄上までこの天というヒロイン単体で登場しますね。単体だと記録的なやつではないでしょうか。律儀に一個一個数えていたのはぼくが馬鹿だからですが、見落としあったらコメ欄なりにでもよろしくお願いします。
 ギャップのかわいさ抜きにしてみたら天、主人公、みゃーこ先輩の三人で掛け合い回すのがいちばん安定感合ってかわいいです。みゃーこ先輩までは天もいじり合いが楽しくできているようなので。ちなみに俺がプレイ前に「天」に期待していたのは、もうちょいスローな掛け合いする子だったのですが、そのへんはもう最初の方でどうでも良くなりましたね。天かわいいだけでもうちょい話進めていっても良いんですが、その辺の話をこうブーストつけて話すのって意外と苦手なので、紙幅的にもこんくらいにしときます。

 そんで、残念は残念というか分かりきってるネタバレな話ですが、天の登場度合いはメインヒロインである『そらいろ~』がマックスで、そのさきは微妙になっていきます。『ゆきいろ~』がいちばん存在感ないです。というところまで書いちゃったので、挽回してかわいさの話もうちょっとすると、毎日いっしょの家にいて週末ゲーセンに遊びに行きたくなる感じです。一家に一台新海空です。ほんと毎日いっしょにふざけあっていたい。

 で、シリーズ全体の話もなんとなくしていくんですが、四連作であり、お話としては事実上一本道というシステム上、最初の作品が面白さ的にもヒロインのかわいさ的にも弱くなります。このへんからはいよいよちゃんとネタバレしていくっぽいので、もうこれからプレイしていく気あるひとはここから先読まないでいいです。やる気あるけどネタバレ参考でなんとなく買う判断するひとか既プレイ民がによによ見るブログになります。

 ちょっとだけ出てきましたが、みゃーこ先輩は割食ってます。第一作で初登場シーンからゲーム終了まで一番短いわけですしね。そもそも第一作の時点でライターの趣味かみゃーこ先輩より天に多少(と言わずだいぶ)偏ってるんすよね。天のかわいさの話で言ったみゃーこ先輩と天と主人公で三人で回すのが安定、みたいなの言っちゃったのもお察しなんですが、みゃーこ先輩本人の出番も割と天に食われていて、ただ、それ込みでかわいいのも事実って感じです。ただ、某感想サイトでみゃーこ先輩をゆずソフト『サノバウィッチ』の綾地寧々さん的真面目っ子ヒロインに評して高評価してるひといましたが、寧々さんは冒頭からのオナニーでどがつくフックあったので、こういうのないのがすでに惜しいんですよ。
 なんにせよ一作目である『ここのつここのか~』はもうなんもかんも割食うしかないんです。シナリオ的にも伏線は張るサイドですし、某感想サイトでも点数は四作中一番低いですし。ただ、それにしても評価は高めです。これは実際単体で見ても結構シナリオ面白いからです。それでも、後味の悪い展開の多さ(溜めと評しても良いんですが)といい、巨乳ヒロインらしいのにプレイ中ぼくが忘れるほどのみゃーこ先輩のヒロインとしてのフックのなさといい、割食ってることといい、もうなんか一作目はもったいないというか、Twitterの会話でも出てきたんですが、シリーズの有料体験版って位置になっちゃうんすよね。
 そうそう、良い忘れていたんですが、この作品は異能でバトル要素ありのエロゲとなっていて、日常だけだとどうしても片手落ちになります。ただ、キャラや設定紹介しながら進んでいくので、作品の持ってるキャパと物語の盛り上がりどころと、色々惜しくならざるを得ません。というわけで、『ここのつここのか~』単体はもう、個人的評価として100点満点から言ったら70点台までです。みゃーこ先輩自体の評価も同じくらいになりますね。天が嫌いなひとだと天とよく絡むのでそっから減算されるけれど、真面目系だし穏やか属性で好きなひとはもっと好きだろうしと思います。

 でーこっからいよいよのことネタバレ臭強くなりますが、シナリオライン的に異能とかにプラスして「死に戻り」とか「ループもの」というより、Keyの『Rewrite』とか、未プレイですけれどアニメでなんぼか見た感じ、エロゲでいうその手の祖の『YU-NO~』とかみたいな感じになります。Rewrite的にはシナリオの枝みたいなこと言いますし、というか『YU-NO』アニメとの比較だとYU-NOまんまっぽいところも感じました。あとこれも未プレイ民なんですけれど、たぶん『シュタインズ・ゲート』『リゼロ』とか好きなひとは好きなんだろうと思いますね。もうこの作品直截的に言うとBADなシナリオにあたってもその前からやり直していくアレです。この要素を一作目だとほとんど贅沢に使わせてもらえないんですよ。だからもったいなくなるのはしょうがないんですよ。

 あんだけ天かわいいかわいいって言ってたけれど、二作目『そらいろ~』はシナリオの恩恵はまだ弱いです。さらにいうと、イチャつきとかデレることがブーストになるとかそれほどあるキャラ造形ではないので、天かわいいけれど、普段どおりでいいっちゃ良いんですよね。
 実妹エロゲーが好き、なんなら背徳もちょっと好き、やや病みブーストかかるの好きってひとには、エロゲルートとしての「新海天」はちょっと良いバフかかります。そういう嗜好がなければ別に普段の掛け合いだけで楽しめるというところに良さがある天はまあ100点以上の子ですね。散々激賞してますし、ただ、先程の一作目通りこの子は二作目のメインヒロインなので、シナリオの後押しはまだどうしても弱いです。それでもかわいいんだから天はいい子ですね。お兄ちゃん孝行だし多分作り手孝行です。この子でだいぶ引けた。ぼくがこのエロゲ買った理由が天だったこともその証左ですね。
 ただ、天の好評価込みにしても、某エロゲサイトの点数同様この作品自体は80点くらい、天への甘いところ抜きにしたら個人的にはもうちょい低くつける……ってことも意外とないんですよね。これ以上プラスもないがマイナスもないと思います。天がもっと好きなひとには登場回数多い時点で加点来ます。個人的にはカモンブラザー的なノリのエロ以外のエロ周りの雰囲気はむしろ好評価要素ではなかったので、そんな感じです。

 ほんで、三作目と香坂春風(こうさか はるか)先輩の話になっていきますね。物語はこのへんから盛り上がりが良くなってきます。二作目までは異能バトルとラブコメで死に戻り要素はそこまでなんですが、この辺からは張った伏線とか増やした登場人物とか潤沢に使えていきます。敵対するキャラ(蓮夜先輩に敬意を評してそのまま)「リグ・ヴェーダ」勢とかうまく回せます。というか、この作品のメインの香坂先輩はそもそもが最初「リグ・ヴェーダ」所属です。その点でキャラクター同士の絡みはどんどん贅沢になっていきますね。うーんいっそ、三作目がいちばん贅沢とか潤沢かな。分からなかった敵の裏のアレとかそういうのどんどん増えるし、もうネタバレありきなのでいうけれど、沙月先生がまさかのボスだったなんて(これは4作目でもっと色々派生しますが)みたいなのとかとりあえず、いろいろどんどん贅沢に伏線回収とかキャラ増加とかしていきます。ヒロインである香坂先輩は二面性があるっぽくて途中まで掴みどころがないんですね。それこそそのでかいおっぱい掴むしかない(シナリオ上でもそうなるの笑う)んですが、巨乳で背が高めとか、本来なら苦手要素になりそうなのも忘れて、割と作品一~二で主人公好きになるのにシンプルに筋が通ってるというか、本人陰の者ながら本人からすると一番最初にちゃんと仲良くしてくれたみたいな感じで、デレていくのが加点しやすかったです。ヒロイン的にまあなんの文句もなくかわいく、本人の異能も結構平和めにチートでそこも良しでキャラクターとしてはふつうに80点代後半くらいの感じですかね。
 一方作品に関してですが連作なのでもうこのあたりだと作品単体って評価がしづらくなりますね。良くも悪くもここまでやった評価になる気がします。なんでここまでやったで評価すると100点近くくらいです。なんにせよシナリオが贅沢だったしフックとかいい意味での裏切りもそこかしこにあった気がします。贅沢に異能バトルが楽しめるって感じです。

 そうして四作目なんですが、これは単体だといよいよ評価しようがないですね。単体であえて評価しようとすると、個人的には二作目の天より低くなると思います。というか、どうしたってこれまでありきで、構造上の大きなネタバレがどんどんキャラクター関係性は贅沢には使えるんですが、どんどん閉じていくんですね。その辺が燃えるは燃えるは分かります。ただ主人公とヒロインの結城希亜(ゆうき のあ)と構造で成り立って、燃えるところぼっこしぼっこし置いた感じが強くて、一方で燃えるけれど、このシナリオ初期ヒロインのフェードアウト感は強くなるんですよね。希亜はいいです。ちっこくて、ネコ好きだけれどあんまり懐いてもらえなくてしゅんとしたり、香坂先輩の異能で懐かせてもらえてよろこぶのもかわいいですし、厨二臭いけれどそこにも理由があったり、少々真面目っぽいというか力が入りすぎるからとそこ修正するために気の抜けた方にいくみたいなデレもいいですし、敵に勝てるかなどうかなってとこでパーティごと絶望的に死ぬのもいいです。ヒロイン単体だとどうかな90点くらいかな。これまでのシナリオっての込みにすると結局100点近いです。
 ヒロイン単体で天とやり合えるのは個人的には希亜くらいしかいないと思います。あとは、趣味でサブヒロインの誰かが好きとかそういうのなければ、一位か二位にしか置きづらい。完結作品のヒロインなのでそりゃいちばんおいしいんですよ。ヒロインとしてはいちばん贅沢にできるんですよ。登場は一作目の時点で出ていて、色々溜めとか伏線とか交流が利くんだもん。贅沢できる。あの厨二っぽい振る舞いが実はとかいうのに、時間かけられる。おいしい。

 で、個別ヒロインは好評価で良いんですが、シナリオのルート単体はそんなに好きではないです。読めるという意味ではそりゃ読めるんですが、さっきも言ったとおり贅沢にぼっこしぼっこし燃える展開置いていちばんおいしい伏線使ったりするんですけれど、ほんとにどんどん閉じてくんですよね。それがあんまり評価できないのです。

 ただ、シリーズ全体でいうともう起承転結の結です。そういう意味なんでもう設定の贅沢し放題ですし、どんどんドライブかかっていくんですよ。で燃えます。何度戦っても勝てない敵に何度でもやり合ってって立ち上がって戦ってく。主人公しか使えない異能ばんばん使います。それ使って勝ったかと思ったら見落としが合って負けてさらにやり直して、みたいなそれを高サイクルでやっていくんで、ボルテージマックスですよ。お、勝てるか? いや、勝つる! いや、負けた。まだやれる。やるぞ! 勝つまでやるぞ! みたいなペースでやっていきます。やってるうちはそりゃ楽しいですぞ。本当。そんで、最後はやっぱりキャラクター全体でラスボス倒して大団円ですね。祝勝会までやるおまけつきです。
 ただ、ヒロインとして選ばれたのは綾鷹でした。じゃなくて希亜でした。そりゃそうです、単体でいうと表題的なヒロインなので。でもシリーズとしては最後の最後なんだから、シリーズ通してプレイヤーのいちばん好きなキャラ選んで結ばれるみたいな贅沢なサービスやってくれたら良かったんでしょうけれどね、それでも希亜はかわいいんで良かったですね。逆転サヨナラでみゃーこ先輩ヒロインに選んで最後とかだとポカーンになりかねないですし、それ希亜でいいというか、希亜がいいんです。天あんだけ好きって言ってますがそれでもややポカーンしそうですもん。

 で、この四作である『9-nine-』エロゲシリーズ全体の話に移行していきますが、全体評価でいうと、90に限りなく近い89点くらいですかね。天ルートもうちょい後ろに引っ張ってたらもうちょい加点したんでしょうね。この89点は既作品で90点以上つけちゃった思い出の作品がいっぱいあるので、それまで超えるか競るかみたいな話すると、そこまではいかなかったという話です。ただでも、この作品シリーズが最初の傑作だったひとはもちろん100点付近つけちゃってなんらおかしくないと思います。この辺は今までのエロゲが90超えつけさせてくれなかったんです。もうちょい冷静かつ素直に評価つければ、もうちょい上です。色々と演出も良かったし、色んなキャラの声も良かったですし、あえて表名義調べませんが多分相当豪勢なことになってますし、主題歌のシンガーは全編米倉千尋で多分作品ごとに違いますし。豪勢で贅沢なことになっていて、シナリオの瑕疵もほとんどない、よくこの贅沢なシナリオ回せたなと感嘆するアレでしたし、天はじめかわいいヒロインはいっぱいいたし。ただ、ひとつだけ言うと面白かったけれども刺さりどころというか個人的なエモらしいエモはなかった、泣いたりそういうのはすんでのところでなかった。

 さて良くも悪くも一挙でやれちゃったので、待ちわび感はない。これはどうなんでしょうね、シリーズ一作目発売からじっくりとゆったりとやったひとには待ちわび補正かかるんですかね。まあ多分ぼくみたいに最後まで一挙で一作感覚でやれたほうが贅沢ですし勢い加点もしやすいでしょうね。
 なにはともあれ、『9-nine-』シリーズ良かったです。笑える日常あり、ラブコメあり良い異能バトルあり、死に戻りあり、ルートの枝を俯瞰で見るみたいなのにも燃える勢にも燃え燃えしくてよかったです。

 たぶん、作品全体を評価するという点だとよくできた『Rewrite』とかそういうのが存在したとすればこんなん前後のものになれたんだと思います。あとで加筆修正するかもしれませんが、そんなところです。今日のところは以上。