白日朝日のえーもぺーじ

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『まちカドまぞく』について

『まちカドまぞく』は2019年夏アニメのいわゆるきらら枠だったわけですが、そのアニメ一話を観てから取り憑かれたようになんども観ていて、回を重ねるごとに「これほど心掴まれるもんない」と思うくらい、楽しんでいました。

 

 古典的表現ながらドジっ子というべき属性持ちなうえにフィジカルもメンタルもペケな女の子「吉田優子」が、先祖の縁から「まぞく」に覚醒してしまい、「シャドウミストレス・優子(以下、シャミ子)」として、まぞくらしい活動をするために敵とされる「魔法少女」と呼ばれる女の子を倒すぞ、という構図でスタートします。

(アニメ一話すら見ていないひとのためのネタバレ回避スペース発動)

 

 

 

 

 主人公のシャミ子は、まぞくではあるものの、基本的にひどく優しくてとても素直な女の子なため、うっかりしたらわるいひとに騙されそうなくらいの良い子なのですが、物語開始間もなく宿敵ともいうべき魔法少女「千代田〈a.k.a.フレッシュピーチ〉桃」と出会いを果たしてしまい、うんだらこんだらあって「自分たちの住む街を守る」という目的で一種の協力関係になるというのがこのお話の流れですが、まあ百合だよなあと視聴者がうなるような、良質のコメディでございました。

 アニメでの改変マジで最高でした二期お待ちしています。(ここからは原作3巻以降読んでいないひとへのネタバレです)

 

 

 

 

 アニメ完走して原作行くだけ楽しんだひとなら分かるでしょうが、こっからは桃色魔法少女の闇堕ちが楽しいです。どんどん「まぞく」の闇に惹かれていく桃を観賞しつつ、シャミ子と桃の間ですれ違うコントみたいなものが加速していきます。

 アニメでもきちんと示唆されていますが、桃の服装の趣味が変化するあたりとかも見どころです。っていうか、服装周りの話はもうお前ら両思いなんでくらいの気持ちになるのですが、それはさておき、この作品で自分がなにに惹きつけられたかというと、これは「命と秤にかかった平穏」という図式そのものですね。

 シャミ子の命を保たせるバランス、魔法少女の命を保たせるバランス、このふたつはどちらもかなり際どいラインで設定されています。シンプルに行くと本気出せば先に手を出したほうが死ぬくらいあるのです。

 ここをもって自分はこの作品のエッジと思っています。まったりとした日常コメディのようでありつつも、そのバランスは「感情」という非常に不安定な均衡のうえに成り立っているという、そのことでいっそうキャラクター陣への愛がこもるというのやら。そういうところでこの作品がすごく好きになりました。(原作買ったので次はBD買います)

 

 ただ、原作4~5巻は明確にお話そのものが外に広がっていきすぎた気はします。ドタバタコメディ4コマとしては一級品だと思っています。ただ、やればやるほどというかやり過ぎればやり過ぎるほど、彼女たちの守る日常の平穏とかけ離れていく感じがあり、それは正直シャミ子や桃が果たすべき案件だったのかすら微妙な理由づけになっている感があり、好きとはいえあまり好意的に捉えてはいません。(あとごせんぞ依り代ver返せ)なので、はっきりと原作厨とはいえないかも知れません。

 物語として終わらせるって形ならたぶん、原作三巻までの内容がきれいだったなあとは思います。

 ……が、アニメは全部の回、原作は三巻までは狂おしいというレベルで好きなので、そのへんまでは少なくともシャ、シャミもm……『まちカドまぞく』を読んでみてほしいなあ、と思います。